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事業形態(個人、法人)を選ぶ

個人事業と法人事業の違い

事業を行うには、個人事業、法人(会社)、組合などの事業形態があります。
また、法人でも株式会社、合同会社などいくつかの種類があります。

 

 

それぞれにメリット、デメリットがありますので、自分の事業規模、事業内容に合わせて自分に一番あったものを選択してください。

 

 

一般的には、「個人事業」か「法人(会社)」を選択することが多いと思いますので、ここではその2つを取り上げています。

 

「個人として開業するか。法人(会社)として開業するか。」ということは、起業、独立開業する上で、必ず検討しなければならないことです。

 

 

 

以下に簡単に両者のメリット、デメリットを比較していますのでご覧ください。

 

 

設立手続き

法人事業については、会社設立のための専門知識と設立までに一定の期間と費用が必要です。

 

個人事業は、届出のみのため、比較的簡単に開業できます。

 

法人の設立手続きについて詳しくは
株式会社の設立

 

合同会社の設立

 

 

資本金

個人事業は、資本金は必要ありません。

 

法人事業1円の資本金から設立することができるようになっています。

 

 

設立費用

個人事業は、設立費用がほとんどかかりませんので、手持ち資金があまりない状態でも事業を始めることができます。

 

法人事業をつくるには、株式会社の場合、最低でも定款の認証費用(約91,000円)、登録免許税(15万円)が必要です。
また、会社設立を専門家に依頼する場合、別途その手数料がかかります。

 

 

決算期

個人事業は1月1日〜12月31日が会計期間となります。12月末が決算となり、変更することはできません。

 

法人事業の場合、任意に会計年度を決めることができますので、決算期を繁忙期を避けたりするなどの工夫をされている法人もあります。

 

 

社会的信用度

個人事業は第三者からみて財政状況や経営状況が把握しにくいため、取引先にとっては信用度が低く思われることがあります。

 

 

それに対して、法人の場合は登記簿謄本や定款などにより、取引先も会社の財政状況や経営状況を確認することができます。
つまり、第三者が会社の状態を確認することができることが、信用力の違いになってくるということです。

 

 

法人事業は、社会的信用力があるため、銀行等からの借り入れ、従業員の採用活動が個人に比べると有利です。

 

 

会計処理・記帳

個人事業の場合、簡易な帳簿記入でもかまいません。

 

法人事業においては、必ず複式簿記で記帳しなければなりません。

 

 

節税効果

節税効果は、事業所得が低い場合は個人事業、法人事業ともあまり差はありません。
しかしながら、一般的に所得が大きくなると法人の方が節税効果が高くなります。

 

 

個人事業の場合、所得にかかる税金には、@所得税A住民税B事業税があります。
法人税はかかりませんが、利益が多くなるほど、所得税率があがり、最大40%もの税金を払うことになります。
(これを超過累進税といいます)

 

一方、法人事業の場合、所得にかかる税金には、@法人税A法人事業税B法人住民税があります。
さらに経営者には、会社から支払われた給料に対して、経営者個人の所得として、C所得税とD住民税がかかります。

 

 

このように税金の種類は会社のほうが多いため、一見不利に思えますが、法人税の税率は定率であるのに対し、個人事業の所得税は、超過累進税率であるため、年間所得が一定額を超えた場合、個人よりも法人のほうが有利となります。

 

 

ただし、法人事業の場合は、赤字でも法人税が毎年7万円かかります。

 

 

さらに、個人事業の場合、経営者が死亡した場合、個人の財産も事業用の財産もすべて相続の対象となるため、相続税がかかります。

 

しかし、法人事業の場合はたとえ経営者が死亡しても、会社は存続するので、会社の財産に相続税はかかりません。

 

 

個人と法人は税率の構造が違うので、収入によっては、税務上で有利な設定が可能です。 

 

また、法人では「給与」として収入を受けとることになりますので、事業主でありながら、サラリーマンと同じような経費控除が受けられますし、家族を役員や従業員にすることにより、報酬を分散することが容易です。

 

また、退職金の税率はかなり優遇されていますので、法人役員の退職金を支給することで有利な設定をすることも可能です。

 

 

事業承継

個人事業では、事業主が死亡すれば、事業は終了してしまいます。

 

法人事業にしておけば、解散しない限り事業は継続するので、継続的な成長が可能です。

 

 

社会保険

個人事業の場合は、社会保険の加入は任意となりますが、常時雇用する従業員が5名以上の場合は加入が必須となります。

 

一方、法人事業は社会保険への加入が義務付けられています。

 

 

 

個人事業と法人事業のまとめ

簡単に表にまとめたのが、下記ですので参考にしてください。

 

 

個人事業 法人事業

設立手続き

届出のみのため、比較的簡単に開業できる。 法律に基づいた諸手続きが必要。手間と費用、設立までに日数がかかる。

資本金

なし 1円〜

設立費用

特に必要なし (株式会社の場合)登録免許税 15万円 定款認証費用 約9万円 など

決算期

12月末日 自由に設定できる

社会的信用度

低い 高い

会計処理・記帳

簡易 複雑。必ず複式簿記で行う。

節税効果

低い 高い

事業継承

事業財産のすべて名義変更の必要がある 比較的容易にできる

社会保険

任意。ただし、常時従業員が5名以上の場合は、必須 必須

 

 

 

個人事業と法人事業はどちらが良いの?

では、個人事業と法人事業はどちらを選択すれば良いのでしょうか?

 

それぞれにメリットやデメリットがあるので一概にはいえませんが、開業時においては、特別な要件(法人でなければ取引できない等)がない限り、個人事業からはじめるほうがよいかもしれません。

 

 

実際、新規で起業、独立開業する場合は、資金や会社設立に関する専門知識も十分ではありませんから、設立費用がかからず手続きが簡単な個人事業から始めるという方が多いようです。

 

 

まずは売上を伸ばし、商売を軌道にのせることを第一に考え、そして次のステップとして、法人にして節税などを考えていくやり方がよいと思います。

 

 

ただし、将来的に法人にすることが明確な場合は、最初から法人にした方が費用と手間がかからず、また許認可や契約書など法人になることで取り直したり、再度契約しなおさなければならない場合もありますので検討が必要です。


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