合同会社設立の手続きの流れ
会社の基本的事項を決める
社員が、会社の基本的事項(商号(社名)、目的(事業の内容)、会社の本店所在地(住所)など)を決めます。
なお、すでに登記されている会社と同名、同業の会社でも設立はできますが、設立後に問題にならないように事前確認をします。
また、同一住所にすでに登記されている会社名と同じ名前をつけることは禁止されています。
事前に本店所在地の登記所へ行き、同一商号があるかどうか調べておく必要があります。
印鑑の作成および印鑑証明の取得
これから会社を設立、運営していく上で必要になる各種印鑑を作成します。
また、作成後は以後の手続きに必要な印鑑証明書も取得しておきます。
定款作成
会社の商号、本店、目的以外で決めなくてはならない事項を決めていき、これから会社の運営をしていく上での基本的なルールである定款を作成します。
出資金の払込みおよび残高証明書の発行
社員が定款で定めた出資金を払い込みます。
金融機関からは残高証明書を発行してもらいます。
設立登記申請書を作成し、登記申請する
登記に必要な書類を準備し、法務局(登記所)に申請します。
諸官庁への届出
会社設立の登記が終わったら、税務署、社会保険事務所などに届け出を出します。
これで法的な手続きはすべて終わり、会社としてスタートすることになります。
合同会社のメリット
株式会社と比較をしたうえで、合同会社(LLC)を設立することのメリットをご紹介します。
会社設立時にかかる費用が安い
株式会社の場合は、設立登記の際に登録免許税が15万円、公証役場で定款を認証する際に5万円程度の手数料がかかります。
合同会社(LLC)の場合は登録免許税が6万円で、定款の認証手続が必要ありませんので、設立時にかかるコストを大幅に抑えることができます。
会社の機関(役員、株主総会等)に関するルールがない
株式会社の場合は、取締役1人と株主総会は必ず設置しなくてはいけないなど、会社の機関に関するルールが多く存在します。
合同会社(LLC)の場合は、社員(LLCに出資をした人)全員の意見をもとに会社の業務を執行することもできますし、一部の社員に業務の執行をまかせることもできます。
自由に配当を決めることができる
株式会社は会社に利益が生じた場合、会社に出資した割合に応じて、利益を分配しなければいけません。
合同会社(LLC)の場合は、出資の割合とは関係なく、自由に利益を分配することができます。
決算公告が不要
株式会社の場合は、毎年会社の決算を公告する必要があります。
公告の方法としては、官報や日刊新聞に掲載する方法、電子公告(インターネット等)による方法と選択肢がありますが、いずれも多かれ少なかれコストと手間がかかります。
合同会社(LLC)の場合は、決算を公告する義務が課されていませんので、費用と手間を軽減することができます。
役員の任期に関する定めがない
株式会社の場合は、役員の任期は最長10年間までと定められています。
そして任期が満了した際は、必ず変更のための登記が必要となり、登録免許税1万円(資本金が1億円を超える場合は3万円)がかかります。
なお、この登記を怠った場合は、罰金を課されることになります。
合同会社(LLC)の場合は、もともと任期に関する定めがありません。
合同会社(LLC)のデメリット
株式会社と比較をしたうえで、合同会社(LLC)を設立することのデメリットをご紹介します。
社会的認知度が低い
合同会社(LLC)は、平成18年5月に新会社法が施行された際に新しく生まれた会社形態です。
設立される数は次第に増えてきましたが、社会的認知度がまだ低いことは否めません。
原則として、出資=業務執行となる
株式会社は、会社の所有は株主、業務執行は取締役と所有と経営が分離されています。
合同会社(LLC)は「LLCに出資をする」=「LLCの業務を実際に行う」ということになります。
なお、LLCの業務執行は、原則として、出資した人の過半数をもって行われます。
とはいえ、社員が2人以上いる場合は、定款や他の社員の委任により、業務を執行する社員を定めることも可能です。
その場合、業務執行社員が業務を行うこととなります。