資金繰りについて
企業が存続する上で、資金繰りは大変重要です。
「黒字倒産」という言葉があります。
これは損益計算書の上では利益が出ているにもかかわらず、資金繰りに行き詰まって倒産してしまうことです。
こうした事態が発生する原因の一つは、入金と出金のタイミングのズレによる資金不足です。
通常、簿記の原則では実際に入出金があった時点ではなく、取引が発生した時点で売上や仕入れなどが計上されます。
(これを発生主義といいます)
ですから、損益計算書上どんなに売上が上がっていても、その入金より経費などの支出の方が早ければ、資金が不足して倒産してしまうのです。
こうした事態を回避するために必要となるのが資金繰り表です。
資金繰り表とは、将来の現金の収入と支出を予測した結果をとりまとめたものです。
これを作成しておけば、不足する資金の額や時期を事前に把握でき、資金不足を未然に防ぐことができます。
資金繰り表と聞くと難しく思えるかもしれませんが、簿記や会計などの専門知識は必要なく、おこずかい帳の感覚で作成できます。
資金繰り表の作り方と留意点
資金繰り表は、将来の現金の収入と支出を予測した結果をとりまとめたものですが、一番重要なのは「正確な予測をする」ことです。
どれだけの売上があるのか、いつ入金があって、いつ支払いをしなければならないのか、その予測がズレると資金繰りも行き詰ってしまうという結果になります。
以下に留意点をまとめておきます。
まずは、売上の入金のタイミングと仕入れや経費の支払いのタイミングを洗い出してください。
例えば、売上の入金条件が毎月 20 日締めの翌月末の振り込みであれば、売り上げた一か月後に入金になります。
また、同様に仕入れや経費の支払条件も洗い出すと、直近 3 カ月くらいの数値は簡単に記入できると思います。
これが一番難しいかもしれませんが、実際の売上金額を予測してください。
過去の売上高の推移を考慮し、季節要因で変動がある場合も含め、まずは売上の予測をします。
次に、仕入れ、原材料費などの原価を予測しますが、これらは売上高の推移とほぼ同じ動きをするので売上高と合わせていけばよいでしょう。
具体的には、原価率((原価÷売上)で求めた割合)を予想した売上高にかけて支払い予定を組んでいきます。原価率については、売上の予測と同様、過去の実績を参考にすることが基本になります。
経費については、ほとんどが固定費(売り上げの増減に関わらず変化しない費用)のため、前年の実績を参考に記入するとよいでしょう。
また、実際の資金繰りでは、予想とのズレが生じることがありますので、売上は弱めに、経費は強めに予測することが資金繰り表を作るコツです。
備品や株式の購入(売却)などの営業外の支出(収入)や、従業員への賞与などの突発的(季節的)なものを考慮にいれます。
個人事業者の場合は、保険の満期金や、子供の学校の入学金などの生活費なども考慮にいれる必要があります。
融資で困った時には
⇒事業者向けビジネスローン申し込みという方法があります。